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東京高等裁判所 昭和52年(行コ)42号 判決 1978年7月05日

静岡県熱海市清水町一九番二号

控訴人

日正興業株式会社

右代表者代表取締役

土屋峰太郎

土屋喜永

右訴訟代理人弁護士

土屋嘉平太

同市春日町一番一号

被控訴人

熱海税務署長 加藤博

右指定代理人

金沢正公

海老沢洋

今井昭登志

山田太郎

有賀重介

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴代理人は、「原判決中被控訴人に関する部分を取り消す。控訴人の昭和四〇年一〇月一日から昭和四一年九月三〇日までの事業年度の法人税について、被控訴人が昭和四三年二月一四日付でした更正処分、重加算税賦課決定処分中所得金額

四〇〇八万二六〇九円、法人税額一四二三万四五〇〇円、重加算税額一〇六万二六〇〇円をこえる部分を取り消す(控訴人の請求を右の限度に減縮する。)。訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする」旨の判決を求め、被控訴人指定代理人は、控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上及び法律上の主張並びに証拠関係は、次に付加、訂正するほか原判決の事実摘示と同一であるからこれを引用する。

原判決一四枚目表一〇行目及び同裏八行目の各「浅井鐘英」の次に「こと浅井鐘三」を、同一五枚目表七行目から八行目の「原告ではなく」の次に「観光開発であり、その金は」を加え、同九行目の「である。」を「から受領したものである。」に改める。

(控訴代理人の陳述)

控訴人の本件事業年度における所得については、原判決添付別表(所得金額算出の内訳表)のうち「二加算の部/売上(1)」の九〇〇一万六七五〇円(有楽土地への伊豆山土地売却分)を除き原判決の認定を特に争わない。右九〇〇一万六七五〇円が控訴人の所得でないことは控訴人が従前から主張しているとおりである。

そうすると、控訴人の本件事業年度における所得金額は、四〇〇八万二六〇九円(本判決添付別表(一)参照)となり、これに対する法人税額は、一四二三万四五〇〇円、重加算税額は、一〇六万二六〇〇円(いずれも本判決添付別表(二)参照)とするのが相当であるから、控訴人は、被控訴人が昭和四三年二月一四日付でした更正処分、重加算税賦課決定処分中右金額をこえる部分の取消を求める(従前の請求を右限度に減縮するもの)。

(証拠関係)

控訴代理人は、甲第二六ないし第三一号証を提出し、当審証人浅井鐘三の証言を援用した。

被控訴人指定代理人は、右甲号各証の成立はいずれも知らないと述べた。

理由

当裁判所も、控訴人の被控訴人に対する本訴請求は、理由がないので棄却すべきものと考える。その理由は、次に付加、訂正するほか、原判決の理由説示中被控訴人に関する部分と同一であるからこれを引用する。

原判決一九枚目表四行目の「浅井鐘英」の次に「こと浅井鐘三」を、同裏二行目の末尾に「なお、当審証人浅井鐘三は、本件伊豆山(2)の土地のうち八筆は浅井が、一筆は丹下薫がいずれも観光開発に売り渡したものであると供述し、甲第二六、第二七号証、乙第三号証は右浅井の供述を裏付けるもののようであるが、以下に述べるところに照らせば、右買受資金は控訴人が出損したものであり、右土地の売得金も控訴人が取得したことが容易に推認できる。)」を各加える。

同二三枚目表七行目の「日本リーダーである」を「観光開発であり、日本リーダーから受領した金員をもってその支払に充てた」に改め、同九行目の「提出し」の次に「原審証人荒木一作も一部これに沿う供述をし」を、同裏末行の「いるものであり」の次に「またすでに認定した観光開発の実体に照らせば、」を各加える。

よって原判決は相当であるから、本件控訴を棄却し、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 安岡満彦 裁判官 内藤正久 裁判官 堂園守正)

別表(一)

控訴人が主張する所得金額

(注) 原判決添付別表の二の9についての被控訴人の主張は、控訴人の石内寅一に対する寄付金一五七二万円(原判決一二枚目裏から同一三枚目表参照)につき、法人税法三七条二項同法施行令七三条の規定により計算すると損金算入額が一六三万三五六四円となり、したがって損金に算入されない寄付金限度超過額が一四〇八万六四三六円となるとするものであるが、これは上記2の九〇〇一万六七五〇円が控訴人の所得であることを前提として計算する限りでは正しいが、上記九〇〇一万六七五〇円が控訴人の所得でないことになると、上記寄付金一五七二万円のうち損金算入額は五〇万八三五五円となり、したがって、損金に算入されない寄付金限度超過額は一五二一万一六四五円(一五七二万円-五〇万八三五五円)となる。

そうすると、原判決添付別表の二の9の額には、なお一一二万五二〇九円(一五二一万一六四五円-一四〇八万六四三六円)が加算されるべきことが明らかである。

別表(二)

控訴人が主張する法人税額及び重加算税額

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